お薬にもいろいろな種類がありますね。
今回は漢方についてご紹介したいと思います。
漢方とは?
漢方に長い歴史があることはご存知だと思います。
漢方は中国で発達した薬で、後に日本にも渡り今に至ります。
普段処方されている合成薬は、病気そのものを治すように作られていますが、
漢方は体全体を見て処方されるのが特徴です。
体全体の調子を整え、人間の自然治癒力を高めることにより、病気を治していく、というのが、漢方薬の概念です。
漢方=生薬?
よく勘違いされることがありますが、漢方薬=生薬ではありません。
生薬というのは、自然に存在している植物などの中から薬効のあるものを採取し、精製せずに使われている薬のことです。
生薬は、それ単体で薬として使われることがあり、 漢方薬はいくつかの生薬を組み合わせて使われます。
つまり、生薬は漢方薬の原料ということになります。
漢方の便秘薬
漢方というのは、病気そのものではなく、体全体を見て処方されるとお話ししました。
ですから、漢方の便秘薬の場合にも、便秘の症状だけではなく、その他にどんな症状が出ているかで薬を選ぶ必要が出てきます。
主なものを挙げていきます。
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
この漢方薬は有名かもしれませんね。
大黄甘草湯は、便秘以外には特に症状がない方に処方する便秘薬です。
この大黄甘草湯はその名の通り、大黄と甘草からできています。
大黄には、大腸を刺激し排便を促す効果が、
甘草には、便秘に伴う腹痛を和らげる効果があります。
こちらの漢方薬は、よっぽど体が弱っていなければ、どなたでもお使い頂くことができます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
こちらも有名な漢方薬ですね。
当帰芍薬散は、体を温め血行を良くし、貧血の症状を和らげる薬です。
女性に用いられることが多く、冷え性や生理痛、更年期障害など、女性の悩みに幅広く効きます。
こちらは、色白、冷え性であまり体力がない方に用いられる薬です。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桃核承気湯は主に「お血(おけつ)」を改善する薬です。
お血というのは、血行障害や鬱血のこと。
女性の生理不順などの月経トラブルに用いられます。
その他にも、便通をよくしたり、イライラや不安を和らげたり、
ホルモンバランスを整える効果もあります。
この薬は、体力がありがっちりした方、肥満気味の方で、
顔色がよくのぼせ気味の方に処方されます。
また、下腹部が張り便秘の方にも用いられることが多いです。
麻子仁丸(ましにんがん)
麻子仁丸は便通をよくする薬です。
便を柔らかくして、排便を促します。
こちらの薬は高齢者の方に処方されることが多く、
乾燥しコロコロした便が出る人におすすめの薬です。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散は、体の熱を下げ、病の原因を発散させる効果があります。
また、体内の水分の循環を促すので、便秘解消にも効果が期待できます。
その他にも、尿量減少やむくみといった症状がある方にもよく効く薬です。
こちらの薬は、主に肥満症の方に用いられます。
体力がありのぼせ気味の方に向いている薬なので、虚弱気味の方には向きません。
また、無駄な水分を発散させる効果があるので、発汗が多い方にもおすすめできません。
乙字湯(おつじとう)
乙字湯は主に痔の方に処方される薬です。
痔の炎症を抑える効果に加え、排便を促す効果もあります。
こちらは、体力が充実した方に用いられるので、虚弱な方や胃腸が弱っている方にはおすすめできません。
便秘薬で便秘を解消
漢方の便秘薬、と一言で言っても様々な種類がありますよね。
選び方に悩む方もいらっしゃるかと思いますので、
便秘以外の症状に着目して選んで頂ければと思います。
漢方の便秘薬は、合成薬のように直接的な作用はありませんが、 便秘だけを治すのではなく、
その他の諸症状も改善が期待できます。
昭和製薬が開発した「昭和便秘のおくすり」は漢方薬ではありませんが、
漢方薬のようにいくつかの生薬を配合して作られた便秘薬です。
便秘でお悩みの方に、是非お使い頂ければと思います。